柔道の魅力はなんですか？と聞かれたとき、私は迷わず「自分と向き合えること」と答えます。
試合で勝つこと、技が決まること、それらももちろん嬉しいことです。 でも本当に柔道がすごいのは、勝ち負けの中で“自分の内側”と向き合わざるを得ない時間が積み重なることだと思うのです。
このコラムでは、柔道という競技がどれほど“心を鍛えてくれる場”なのかについて、私の経験と指導の中から感じていることをお伝えします。
◆畳の上では言い訳ができない
柔道の試合は、たった一人で畳に立ちます。
- 相手と向き合いながら、
- 仲間も先生も助けてくれない中で、
- 自分の力を試される瞬間です。
この緊張感の中では、準備不足も、気持ちの弱さも、体力の差も、すべてが表に出てしまいます。 だからこそ、選手は「自分に足りないものは何か？」を自然と考えるようになる。
柔道は、毎日“自分と向き合う稽古”でもあります。
◆「負け」から逃げないことで得られるもの
試合で負けるのは、悔しいです。 泣きたくなるし、見ている指導者や保護者も心が痛みます。
でも、私は負けることを“悪いこと”とは思いません。
負けたことで、
- 本気で努力しようと思えた
- 技術だけでなく心を鍛えようと決意した
- 相手を尊敬する気持ちを学べた
という選手を何人も見てきました。
逃げずに負けと向き合う経験は、人生の中でもなかなかできることではありません。
◆道場は「人間力を育てる場所」
柔道では、礼法や規律、仲間との関係もとても大事にします。
- 靴を揃える
- あいさつをする
- 相手に敬意を払う
- 練習が終わったら感謝の気持ちを伝える
それらすべてが、「人としてどうあるべきか」を自然に学ぶ時間です。
強い技を持っていても、心が育っていなければ試合では崩れます。 反対に、技がまだ未完成でも、心が育っている選手はどんどん伸びていきます。
◆まとめ：柔道は“心の道場”でもある
柔道というのは、心を鍛えるための場所でもあります。
- 自分を知り
- 足りない部分に向き合い
- 仲間と切磋琢磨し
- 礼をもって相手に挑み
その繰り返しの中で、気づけば人としても強くなっていく。
私はこれからも、柔道を「勝ち負けの場」ではなく、「自分を育てる道場」として、選手たちに伝えていきたいと思っています。
柔道は、自分自身と出会える最高の競技です。
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